三重県御浜町。紀伊半島南東に位置し、その複雑な地形から温暖で雨が多く湿潤な風が吹く。
その気候がエアープランツを育てる最適な環境を作り出している。
現地のグアテマラを行き来しながら、日本全国へ良質なエアプランツの供給を続けてらっしゃる
南紀グリーンハウスさんを訪ねました。
生産者名 | 南紀グリーンハウス | 代表者 | 芝崎裕也さん |
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住所 | 三重県御浜町 | ホームページ | |
生産品目 | チランジア(エアープランツ) |
圃場面積 |
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チランジアと地元御浜町、尾呂志をこよなく愛する東紀州人。
人とは真逆の方向へつい進んでしまうという性格が田舎でのビジネスの成功のもと。1年の半分は外にでる超多忙な方です。
2015/4/3 「チランジアは中南米グアテマラからやってくる」
3月下旬。
地球の裏側、中南米から何度かのトランジットを経てチランジア(エアープランツ)が到着。
トラックに積まれた荷が降ろされ、箱を開けるとモスグリーンの艶やかで、
そして美しいシルバーの植物が顔を出す。
1つ1つ手に取り、品質を確かめながら台に並べていく。
コンディションは良い。
ほっと安堵の表情を浮かべるのは南紀グリーンハウスの代表取締役の芝崎裕也さん。
『何年やっていても、オーダーして、現地からここへ届くまでの時期は胃が痛くなります。』
言語も文化も違う南米にあるナーサリーから、年に4〜5回、チランジアを入荷させる。
植物というナマモノをいかにストレスなく、いかに早く軒先に到着させるかは輸入に携わる者の
永遠の課題。現在のグアテマラのパートナーとめぐり合い、日本の細かい規格やオーダーを
理解してもらうため何度も通い詰め信頼関係を築き上げてきた苦労など、お聞きすることができました。
『これがパートナーのナーサリーです』
と見せてくれた写真には一面キセログラフィカが並ぶ風景。
現地では野外にベンチを置き、そこへチランジアを並べ、生産しているそう。
この大きさになるまでにはなんと30年も!
中米グアテマラの南紀グリーンハウス関連農場
何千という種類があるチランジア。
その中から芝崎さんが選ぶのは日本で管理しやすいもの。
お客様ができるだけ失敗せずに簡単に育てることができるものを選んでいらっしゃいます。
芝崎さんは入荷したものを横流しのようにすぐに出荷するのではなく、ハウスで日本の気候に十分順応
させてから出荷するとのこと。そして世界遺産でもある熊野古道にある風伝峠からの朝霧が長旅を
終えたチランジア達を元気にするのに一役かっています。
■田舎でビジネスができることを証明したい
南紀グリーンハウスは来年で20周年。
チランジアを専門に取り扱い、年間30〜40万個を日本全国に送り出しています。
三重県御浜町。みかんの一大産地で花のビジネスを営む芝崎さんは
もともとミカンと水稲農家に生まれ育ちました。
学校を卒業しアメリカでの研修後、先輩から園芸商社の誘いを受けこの世界に飛び込み、その会社で
日本と世界各地を飛び回り、初代営業所長まで務めた後家の事情でUターンをすることになりました。
花の産地としてはほとんどインフラの整っていない御浜町。芝崎さんはこれまでの知見を生かせて
全国配送できる、ここだからこそできるビジネスをと考えた末、「チランジア」に行きついたそうです。
もちろん初め周囲は大反対。花・グリーンとも思えない姿に価値を見出しくいものも無理ないですね。
しかし、芝崎さんにはチランジアがこの土地と相性がよいという感覚があったそう。
実際、ハウスの裏にはレッドデータブックにあるような着生ランを見ることができたし、何度も足を運んだ
原産地の気候と紀伊半島の複雑な風が南米のレインフォレストと似た状況だと考えていたと話します。
インターネット環境が徐々に整い始めた時代でもあり、現地とのやりとりもリアルタイムで行えるようになっていたことも幸いし、さまざまな壁を乗り越えた結果、チランジアビジネスは功を奏しました。
現在、年間30〜40万個のチランジアを取り扱いながらも注文が多く、数量を確保するのが大変になってきているそうです。特に最近は婚礼装花やインテリア、雑貨関係の引き合いが多く、光と少量の水と空気があれば育つチランジアは室内でも管理しやすく軽量であるため場所を選ばないのも人気の理由です。
不便な土地だからこそ生まれた商い。
田舎でも発想を転換すれば夢がカタチになるビジネスモデルを勉強させていただきました。
■地元に愛情を注ぎ続ける
順風満帆に見えるチランジアですが、芝崎さん自身確信的なものが見え始めたのは最近になってからだそう。 月に一度は展示会の出展、お客様の所へも頻繁に営業で出向き、休みなく走り続けています。
『常に危機感をもってやってきました。だからこういう商品提案をして、エアプランツの魅力を知ってもらいたいと思って作っています』
見せていただいたのは砂と器、チランジアがセットになったキット。
初めは全部器にセットした状態で販売していましたが、
お客様の方で、好きなように自分でオリジナルが作れた方が楽しいかと思ってキット販売を始めたそうです。となりには備長炭を使ったアレンジも。
この備長炭は地元の友人からヒントを得て。他の商品にも地元のものを所々取り入れているのはこの土地を心から愛してやまないためなんですね。
芝崎さんは消防団から語り部、地域活性化プロジェクトへの参加、ラジオでの情報発信など
地元の活動も非常に熱心に取り組まれています。
最近の一番嬉しかったことは御浜町尾呂志地区の「尾呂志夢アグリ」と熊野市の企業との
コラボレーションから、米どころを守る活動が酒米という形で実を結んだこと。
『ここはほんとに素晴らしい土地です。石畳特に熊野古道の風伝峠から山肌を落ちる
朝霧(風伝おろし)は景色はぜひ一度見てほしい。』
と笑顔で語ってくださいました。
長時間の取材に応じてくださり誠にありがとうございました!
ここ数年、人気上昇中の商材のため入荷量を徐々に増やしてはいるが、品種によっては入荷前から予約完売状態のものも。現地の環境もよく品質は良好。
品種名 | 規格 | 特徴/こだわり | 生育状況/出荷時期 |
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キセログラフィカ |
MINI 〜特大 |
大きさのバリエーションを揃え入荷させています。 |
通年 |
イオナンタ |
手のひらサイズの小型チランジア。かわいい! |
通年 | |
フックシー |
フワフワ感が愛らしい姿 |
通年 | |
ブルボーサ |
濃いグリーンがかっこいいインテリア向き |
通年 | |
ウスネオイデス |
婚礼では定番?人気商品 |
通年 | |
ジョエル |
イオナンタとブルボーサの掛け合わせのレアチアンジア |
入荷時のみ |
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コットンキャンディ |
ピンクの花が美しい |
入荷時のみ |
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ジュンシフォリア |
まっすぐな線を感じるチランジア |
通年 |
南米から入荷したものを日本の環境にしっかりと馴染ませてから出荷するため、安心して注文することができます。ふるさとに根を張りながら情報と営業力を駆使したビジネス展開に感動しました。前向きさと周りの人を元気にさせるパワーがチランジアの商材・商品の底力になっていると感じます。
(文責:松本真由美)
(営業担当:東京 TEL/047-306-5587)