フレネットHIBIYA

千葉県南房総市
折原園芸

花の一大生産地である千葉県南房総市・丸山町にある折原園芸。1977年から花栽培をはじめ、現在は、施設ハウス142棟(7700坪)露地畑2.5ヘクタールの広大な土地で、一年を通してホワイトレース、ヒマワリ、ハーブ類、ニゲラ、タラスピ、コスモス等の草花を中心に約400万本生産している。MPS-ABCの取得を2022年から開始し、環境に配慮した取り組みも行っている。(2025年3月現在)

折原園芸
折原利明さま

「人生、楽しむために努力する」をモットーに、ご自身のパワフルさと農園のチームワークを活かし、地域にも貢献する花生産を行っている。

スタッフが働きやすい環境を整え、必要とされる切花生産企業を目指す

折原さんの圃場を訪れると、スタッフとの温かなコミュニケーションと、働きやすい環境づくりへの真摯な姿勢を強く感じた。

折原園芸の理念は「必要とされる切花生産企業を目指す」。そして折原さんが将来への不安や苦悩から30歳の時に「自分を三人つくる」と決めた。
自分が不在時でも組織として仕事のサイクルを止めないよう、スタッフが自ら考え行動できる場を整え、全員が意欲的に仕事に取り組めるようにしている。
栽培品目ごとにチームを作り(秋~春シーズンだと①ホワイトレース、②ニゲラ、③タラスピ、④ハーブ、⑤生産管理チーム)、そのリーダーに市場とのやり取りや、採花、出荷などの采配も任せて作業の負担を軽減しながら、人材育成にも力を入れている。

この組織力の強さは、ただの「人望」では片付けられない。折原さんの信念「戦略なき戦術に勝利なし」が根底にあり、その考えが確かな結果を生み出している。20歳の頃にアメリカでの2年間の農業研修や16年間の消防団活動、サッカーのコーチ、南房総awahana!!、PTA、農業士協会、花業界フットサル大会など、さまざまな組織での経験が、今の大規模農業を支える組織作りに活かされているのだと感じた。

現在のスタッフは30名(役員、正社員やパートさん21名、外国からの特定技能9名)の方々が働いている。年間を通じて安定した雇用体制を整えるために2001年から夏シーズンの生産主品目である「ヒマワリ」や「ハーブ」を始めたきっかけでもある。遠方からの社員の為に「男子寮、女子寮」も全13部屋完備している。

そして、どんなに忙しい中でも折原さんが忘れないのは、スタッフへの愛情。基本的に残業はあまり無いようだが、母の日week、父の日week、3月需要期、年末需要期、など繁忙期で20時まで作業がある場合は残業弁当を支給していたり、7エリアある各農場でのトイレ施設(現在18基)などへの投資を惜しまず、スタッフが働きやすいよう環境を整えている。

「人生、楽しむために努力する」と話していた折原さん。 “今やるべき事”の優先順位を考えながらも、楽しむ為に戦略を立てて行動し続ける姿が、美しい花生産の根源にあると感じた。

【折原園芸の物語】帝国ホテルを彩るヒマワリができるまで

折原園芸では、通年を通してレースフラワーやハーブ、タラスピなど多様な草花を栽培している。中でも2001年から生産をスタートし、6月から9月末までの4か月間、夏の主役として定着しているのが、力強くそして美しく咲き誇るヒマワリである。(ハウス118棟分)

南房総丸山エリアの土壌である粘土質は地力が強い上に、前作の残肥の影響もあり大きくなり過ぎる為ヒマワリには適さず、当初は苦労も多くあった。それでも、地道に土壌の改良や播種の工夫や改良を重ね、水や肥料の管理も独自の方法で徹底し、「最終的には地面がひび割れるくらい水を切る」など多くの調整を重ね、引き締まった茎と鮮やかな花を持つ、大量生産でありながら高品質なヒマワリを育てることに成功した。

現在ではその品質が高く評価され、全国各地のお花屋さんやブライダルなどで使用されている。そして毎年「帝国ホテル」のエントランスの装飾花でも使用され、多くの方に季節の彩りを届け、その鮮やかな花色が訪れる人々の心を明るく照らしている。

【三代目への事業継承】経営規模を少しダウンサイジングして渡すのが目標

取材の中で、今後の展望について尋ねると、折原さんは10年後に「三代目の息子に経営を渡す事」と話してくれた。息子のことを「弟のような存在」と語り、二人の関係はまさに戦友のよう。折原さんは「導くことはするけれど決断は常に息子に任せている」と話し、息子の俊太朗さんの成長を温かく見守っている。俊太朗さんは24歳と若いながらも強い意識と覚悟を持っており、その姿勢に尊敬の眼差しと信頼を寄せていた。これからの折原園芸がどう進化していくのか、その未来がとても楽しみである。

(2025年3月取材)

その他の取扱い品種(一部抜粋)

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